物件概要書の「特記事項」を軽く読んでいた。4年後に効いてきたもの
ロフティチェリーNo.1(千葉県船橋市海神 / 木造2階建 6戸 / 築39年)
- 特記事項の行数
- 4行
- 水道・ネットの負担
- 月1.4万円ほど
- 未解決の越境
- 覚書のみ
物件概要書の最後に、「特記事項」として4行だけ書かれていた。
共用部手すりに一部錆あり(使用上支障なし) 水道代オーナー負担 インターネット代 約1万円/月 受水槽が隣地より越境(建替時に調整する覚書あり)
買うときは「築古だしこんなものか」と流した。4年持って、この4行がそれぞれ 効いてくることが分かった。
水道代とインターネット代は毎月出ていく
この物件は水道代がオーナー負担だ。受水槽があるため、建物として一括で水道を引き、 オーナーが払って家賃に含める形になっている。ポンプを動かす電気代もオーナー持ちだ。
インターネットは全戸に引かれていて、月1万円ほどをオーナーが払っている。
家計簿から拾うと、インターネットが月8,020円、受水槽まわりと思われる電気が月4,044円。 合わせて月1.2万円、年間で14万円ほどが固定で出ていく。
年間家賃384万円に対して3.7%。表面利回り9.85%のうち、0.36ポイントぶんが ここで消えている計算になる。
これらは物件情報の「利回り」には一切反映されない。 家賃だけを見て利回りを 計算すると、必ず上振れする。
手すりの錆は「使用上支障なし」だった
錆の指摘は「使用上支障なし」と書かれていた。実際、4年間これが問題になることはなかった。
ただ、売却時の提案資料にも同じ指摘が載った。 買うときに見えていた劣化は、売るときにも見える。直さない限り、 出口で値引き材料として戻ってくる。
受水槽の越境は解決していない
いちばん重いのがこれだった。
受水槽が隣地に越境している。 概要書には「建替時に調整する覚書あり」と書いてある。 覚書があるということは、解決していないということだ。現状のまま使うことは 双方で合意しているが、建て替えるときには隣地と話をつける必要が残っている。
築39年の木造アパートを買う人は、いずれ建て替えるか、更地にして売ることを考える。 そのときにこの問題が出てくる。買い手にとっては減点要素で、価格交渉の材料になる。
特記事項は「価格に織り込まれている」とは限らない
築古を買うときは、こう考えがちだ。「問題があるぶん安く買えているはずだ」と。
実際には、特記事項に書いてあることが価格に反映されているかは分からない。 売主も仲介も、書いて伝えた時点で説明義務は果たしている。値引きの根拠として 使うかどうかは買主側の仕事だった。
自分は使わなかった。読んで、流した。
何を確認すべきだったか
いま同じ物件を見るなら、特記事項の各行についてこれを聞く。
- オーナー負担の費用は、年間いくらか — 水道・ネット・共用電気を実額で
- その費用は募集賃料に転嫁できているか — 近隣の同条件と比べて
- 越境・私道・再建築不可は、解消の見込みがあるか — 覚書だけなら未解決と読む
- 指摘された劣化を直すといくらか — 見積もりを取ってから買うかを決める
どれも、買う前に聞けば答えが返ってくることだ。4行を4行として読まなかったのが、 唯一の落ち度だった。