手残り不動産の実質利回り

設備はまとめて壊れない。順番に壊れる。10ヶ月で221,700円が出ていった

ロフティチェリーNo.1(千葉県船橋市海神 / 木造2階建 6戸 / 築39年)

10ヶ月の設備交換費
221,700円
同期間の実績CF
+142,937円
交換したエアコン
2台

築39年の木造アパートを持っていた。修繕といえば屋根と外壁、あとは入退去の原状回復だと 思っていた。実際に出ていったのは、それとは別のものだった。

エアコン、シーリングライト、換気扇、そしてまたエアコン。 設備が順番に壊れていった。

出ていった実額

実データが手元にある2024年8月〜2025年6月の明細から、設備関連だけを抜き出す。

明細の計上月 内容 金額
2024-09 エアコン交換 106,700
2024-09 シーリングライト交換 20,900
2024-11 換気扇交換 26,400
2025-05 202号室 エアコン 67,700
交換のみ合計 221,700
2025-06 203号室 エアコン清掃 9,000
清掃を含めた合計 230,700

交換だけで221,700円。清掃を足すと230,700円になる。

期間は10ヶ月ほどしかない。その間に4件の交換が、2ヶ月おきくらいの間隔で来ている。 まとめて1回ではない。一度払って終わりにならないのが、この費目のいやなところだ。

手残りより設備交換のほうが大きい

同じ期間の実績を並べると、金額の意味が変わる。

項目 金額
実績CF(2024-08〜2025-05の10ヶ月) +142,937
設備の交換費(同期間) −221,700
差 −78,763

設備交換の総額が、その期間の手残りを上回っている。 月に直すと手残りが14,294円、 設備交換が22,170円だ。手残りの1.55倍が設備に消えている計算になる。

もちろん実績CFのほうには原状回復の107万円も引かれているので、この2つを単純に足し引き して「赤字だ」と言うのは正しくない。それでも、設備という費目ひとつで10ヶ月分の手残りが 消える規模になるという事実は変わらない。

月ごとの効き方はこうだ。

月 差引 備考
2024-10 145,658 平常月
2024-12 145,154 平常月
2024-09 16,277 エアコン+シーリングライト127,600
2024-11 123,445 換気扇26,400

平常月は14.5万円ほど残る。エアコンとシーリングライトが重なった2024年9月は、 手残りが16,277円まで落ちた。1台の交換で、その月はほぼ何も残らない。

収支報告の「非定期経費」を見ても全部は出てこない

ここは自分が後から気づいた点だ。

2024年9月のエアコンとシーリングライトは非定期経費として計上されている。ところが 2024年11月の換気扇26,400円は、通常の「経費」に入っている。

つまり収支報告の非定期経費の欄だけを追っていると、換気扇の交換は視界に入らない。 その月の経費が少し膨らんだようにしか見えない。設備交換の全体像を出すには、 明細を科目まで開く必要があった。

原状回復として計上された107万円の中にも入っていた

もうひとつ、正直に書いておかなければいけないことがある。

入退去の原状回復で107万円かかった話を別に書いた。あの 1,067,300円の内訳を開くと、67,700円は202号室のエアコン代だ。

内訳 金額
201/203号室 原状回復(着工・完了・手直し) 999,600
202号室 エアコン 67,700
合計 1,067,300

だから上の221,700円と107万円を足してはいけない。67,700円は両方に入っている。 原状回復としてひとまとめに計上された金額の中に、内装ではなく設備の交換が混ざっていた ということだ。

ついでに書いておくと、このエアコン代は明細では2025年5月、収支報告では2025年2月に 計上されている。203号室のエアコン清掃9,000円も、明細では2025年6月、収支報告では 2025年3月だ。どちらが正しいのかは自分では確定できていない。金額は動かないが、 月次で見るときはずれる。

原状回復とも大規模修繕とも別の、第三のコスト

整理すると、この物件で出ていった修繕系の費用は3つに分かれる。

種別 発生の引き金 この物件での実額
原状回復 入退去 107万円(2戸)ほか
設備交換 経年劣化 10ヶ月で221,700円
大規模修繕 建物の周期 買う前の試算に2,000,000円

買う前に業者からもらったキャッシュフロー計算表には、5年目に大規模修繕2,000,000円が 計上されていた。設備交換はその200万円とは別枠である。そして大規模修繕のほうは、 売却まで1円も使っていない。

原状回復は「誰かが退去したら出る」ので、まだ身構えられる。大規模修繕は「そのうち来る」 と分かっている。設備交換だけは、引き金が入居でも退去でもなく、ただ物が古いという 理由で来る。予定に置けない。

そして、記録が無い期間のほうが長い

上の表は2024年8月以降の実データだけで作っている。2022年1月〜2024年7月の31ヶ月は 明細が手元に無い。

10ヶ月で4件起きているものが、その前の31ヶ月にゼロだったとは考えにくい。 収支報告では推定として非定期経費を合計600,000円置いてあるが、それが設備だったのか 原状回復だったのかも分からない。起きたはずのことが、記録が無いというだけで数字に 出てこない。

だから221,700円は「4年4ヶ月でかかった設備費」ではない。記録が残っていた10ヶ月ぶん でしかない。実額はこれより大きかったはずだ。

シミュレーターの運営費に管理費と清掃費だけを入れると、この費目はまるごと落ちる。 築古を入れるなら、設備の交換分を月あたりで足しておいたほうが実態に近い。

まとめ

  • 実データのある10ヶ月で、設備の交換だけで221,700円が出た
  • 同期間の実績CFは+142,937円。交換費のほうが手残りより大きい
  • エアコンは2台。設備はまとめてではなく2ヶ月おきくらいに順番に壊れた
  • 換気扇は非定期経費ではなく通常経費に計上されており、報告書の非定期経費欄だけでは 設備交換を追えない
  • 原状回復107万円の中にもエアコン代67,700円が入っていた。単純に足すと二重計上になる
  • 記録が無い31ヶ月があるので、221,700円は下限であって総額ではない

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